先週の土曜日のことです。
その日の仕事が終わり、昼食を取っていた時です。
携帯にメールが入りました!
まぁ、大したものではないだろうとそのままにしていたら、今度は消防分団長より電話が来ました。
なんと?町内の山間部で朝から山菜採りに出かけた方が遭難したらしい!
しかし、みんな仕事が終わり翌日は休みということも有ったので酒の入っている方も居たり、既に出かけてしまっておいそれと戻れる距離ではない状態。
おりしも田野岡大和君の事件があったばかり・・・・!
情報が錯綜する上に、現場は非常に通信状況が悪く土地感のある町内会人以外は迷う迷う!
なんとか集まりはじめ情報収集に入ります。
早朝から二人で山菜のウドを採りに沢に下りた。
それぞれに採取し、時間になったら戻るという約束だったらしい?
朝のうちは曇りだったのですが、午前9時頃から雨が降り出しました。
服装は紺色系で野外では全く目立たない!そして防寒、防雨対策は無い
やがて、時間になり一人は車へ戻り、待っていたが来ないので連絡を取りあっているうちに、道に迷った、どこだかわからないという話。
かろうじて通じていた携帯電話も不通となり遭難確定!
70歳後半である上に体格は山歩きに不向きな・・・・健康状態も決して良いわけではないようです。
実は二人とも猟友会では解体などでお世話になった方たちでした。
大体の話を聞き、消防職員、消防団、羅臼派出所、中標津警察署からも応援が来ました。
しかし現場はヒグマがたびたび目撃されている場所です。大きなオス熊は我々猟友会が目撃していますし、近所の酪農家はトラクターで作業中に親子熊と遭遇、母熊からのブラフチャージまで!
(エゾ鹿有害駆除中に目撃された遭難現場付近に居た300kgクラスのオス熊) そこで、猟友会2名の応援も頼みました。
自分ですか?肩が逝かれており、まったくもって・・・・
というわけです。
羅臼人なら熊に慣れていますが、中標津から来たお巡りさんらはそうはいきません!
入ったという沢の中へ猟友の須〇さんと標津町薫別派出所の警察官と先頭になりながら足跡を探しますが・・・・見当たらない?
周辺の草にも歩いた痕跡が無いことに不安を覚えながら事前情報を頼りに先へと進んだところで、沢が本流と合流する地点の砂の上に足跡を発見!
ここで、上流と下流に分かれ捜索することに!
遭難者の心理として河口へと向かうものですが、幾分土地勘があるらしいので上流にある橋を目指すことも考えられ鍛えられた消防隊員が2名向かいました。
下流は増援部隊が到着してから行くということで待機していると、発見の報が上流に向かった二人から入りました。
本当にほっとしましたね!
雨が降っていることも有り日没が早い、熊が居ることも有り別な意味で2次遭難も考えられ、あと1時間遅ければ翌日の捜索となった可能性がありえました。
会話は出来るが、濡れて低体温症状が出ていて、介助無しでは自力歩行が困難なほど衰弱していました。
自分達先発隊は先に戻り、沢から牧草地へ揚げる準備!・・自分は見物。
待ちました・・・・かなり待ちました!
ようやく、見えてきました。
両脇を抱えられ、なんとか歩けています。
一度は高いところにあがろうと笹藪に入ったそうですが、全く分からないという?
そこでパニックにならず、川へ一度自力で戻ってくれたことが幸いしました。
もしもそのまま中を彷徨ったらアウトでした。
警察官も消防関係者も抱え、押し、引っ張り!
あともう少しです。
上から心配そうに見守る猟友のTさんと消防団幹部!
救急車も傍で待機です。
無事収容され、病院へと搬送されて行きました。
もしも、当日中に発見できなかったら間違いなく助からなかったでしょうね!
場所が場所で、ヤバいのがウロウロしているので、翌日からの捜索ということになったら、うちの猟友会だけでは足りなかったかもしれません!
今回の捜索範囲の狭さを感じながら思うところは7歳児の田野岡大和君の尋常ならざる逞しさ!
自分も小学2年生の時に川をショートカットしようとして迷ったことがあるのですが運良くすぐに川に辿り着き事なきを得ましたが、大和君と同じような移動は無理だと思った!
撤収時の牧草地歩きは遭難者を無事救助できたという安堵感ととにかく良かったという気持ちで苦になりませんでしたね!
発見した羅臼消防職員の高い技能と、中標津警察署の的確な指揮のおかげで今回の遭難は事なきを得ました。
めでたしめでたし
山菜採り注意しましょうね!
そして、明日の遭難者は俺かもしれないと思った!
附則:
ちなみに遭難者が歩いた痕跡が無かったことに納得がいかず、翌日もう一度入りこんでみたところ沢の対岸の笹藪の薄いところを歩いた痕跡がありました。ウドを探して切り取った痕も、そして迷ったことを自覚して捨ててありました。迷ってもおかしくないルートを歩いていましたね!