先日、羅臼ビジターセンター内で偶然手にした本を読む機会があり読み入ってしまいました。
荻野みちる『海の哺乳類情報センター』という方の講談社から出版されている本です。
著書の中では鯨類画像解析の草分け的存在としての自分の功績も踏まえ、20世紀後半の日本の鯨類密輸?密輸についての見解、にも言及していました。
実際、ニュースで販売されている鯨肉が表示されている内容とは全く違う種の鯨肉だったりしたことは自分も知っています。
そのことが世界の怒りを買ったことも!
それがいつの間にかニュースにならなくなり、世間から忘れられたことも!
そのことについてはこの方なりの想いが書かれていて唸ってしまいました。
今ではさすがにそんなことはありませんが、その暴かれる事件が無ければどうなっていたのでしょう?
そこはさておき、気になったのは2005年羅臼町相泊で起こったシャチの集団座礁について言及していたこと。
大まかに
2005年2月、流氷が急速に勢力を増し沿岸に押し寄せ、回避できなかったシャチの群れが閉じ込められ集団座礁した事件です。
自分も当時、現場に見に行きました。
ひしめく流氷の中で息も絶え絶えのシャチと血の海でダイバーの関さんが奮闘していました。
シャーベット状になった氷塊の中でやがて次々と窒息していきます。
群れの大半が(2頭行方不明、1頭が助かり沖へ)死亡した事件でその後研究目的で解体されました。
1年後、その研究について発表が羅臼で!
当時の自分は興味こそあれ、関与することも無く。
死因というか、なぜ集団座礁に至ったのかについては科学者の立場上、言及はしていませんでしたが多くの人が急激な流氷の動きに逃げ場(呼吸する場所)を子供が失い群れ全体の遭難に繋がったのではないかという?
イシイルカでも流氷が原因ではということが近年、標津町でありました。
40年前に同じことが1977年(昭和52年)2月にも北海道枝幸町でも!
荻野さん、著書の中でこの集団座礁は潜水艦のピンガー(パッシブソナー(音波測定器)・有効射程約20km)が原因ではと言っています。
潜水艦のソナー、いわゆる『ピンガー』が鯨類の集団座礁(マスストランディング)の原因の一つになっているという話は聞いていますし、米軍もそれを認めている風がありますね。
実は相泊のその年に北方領土の択捉でもシャチの集団座礁が起きていてこれもそうだという。
あの時、彼女も相泊の集団座礁の現場に駆け付けいろいろ意見したけれど聞き入れられなかったという意味の内容です。
現場で見たシャチにはピンガーによる特徴的な証拠として言われる眼からの出血などが見られているること言っていました。
それを読みながら、鯨類の集団座礁の原因にピンガーがあることは理解できるのですが、それを相泊の集団座礁に結びつけるのはどうかという気分です。
オホーツク海で潜水艦が行動しているとすればロシアでしょう。宗谷海峡は浅くて航行は浮上、根室海峡は通行できるほど深くないです。択捉水道なら・・狭い根室海峡に入り込む理由が無いですよね!
軍事上の事情や海底地形のことは知っていてのことでしょうか?
岩礁帯の浅瀬で流氷群に波と共に打ち付けられる状態です。
出血もしますって、加えて死後、内臓の腐敗でガスが出て体内の圧力が高まれば皮膚の薄い部分からの出血は容易です。
新鮮でも海底から海面までの圧力の強弱で目から出血することはよくある事。
彼女の説明では無事逃げて行った1頭について説明が付かないこと。
少し著書を読みながら、自分の研究に自信を深めるあまり妄信という深みにはまっているような気がしました。
でも、いろいろと疑うことは大事です。でも信じすぎるのも危険です。
著書を読みながら研究者であろうと、『女の人って難しいわ』って思いました。