4月から順調に(流氷に邪魔されない)始まったカニかご漁が今月で終わりました。
今から25年ほど前は羅臼の海で刺し網によるカニの混獲が特殊事情と言うことで認められていました。
ただし、原則としては可能な限り海へ戻すこととなっています。
やがて、混獲を隠れ蓑に専獲となり、また他の許可外区域で密漁されたカニが羅臼産だということで出まわり、事態を重く見た関係機関の判断で混獲は認められなくなりました。
そのため、刺し網に依存している小型漁船の救済措置として羅臼漁協で5隻、標津漁協で5隻に資源調査名目で特別採捕のカニかご漁が許可されました。
当時、その説明会に来た漁業者は6名だったと記憶しています。
時代は混獲による資源枯渇とソビエト連邦の末期状態から北方水域は無法状態と化し国境警備艇は燃料不足と給与未払いから稼働せず多くの漁船、特高船が四島沿岸にまで入って操業するような状態だったのでそんな話に興味を示す漁業者はごく少数の零細沿岸漁業者だけでした。
籠を用意するのもすべて自腹で新規です。試験操業とは言っても採算が獲れなければ借金だけが残るわけで美味い話しが転がっていた時代にやろうというのはかなり阿呆な目で見られましたね!
なんとか操業を開始したのは良いのですが、資源量の少なさと、ソビエトからの密輸、ロシアに代わってからの凄まじい輸入で価格破壊が起こり、採算が取れずに辞めていく船が出ました。
自分も籠の代金の支払いは他の漁業で稼ぐほかなく、大変でしたね!
それは標津も同様で今生き残っているのは2隻だけです。
羅臼は自分を含め3隻!
途中何度も挫折しかかって、漁組にカニかご漁を休業したいと言ったほどですが、そのたびに説得されました。
今となってはそれが良い結果に結びついています。
羅臼の代表的な漁業資源であったスケソウ、タラ、ホッケが資源枯渇で苦しくなった同業者から羨ましがられますが、良い部分しか見ていません!
ことしに入り、ロシアでカニの輸入規制が始まり道内のカニを扱う業者は悲鳴を上げています。
値段は高値で推移し、最後は史上最高値!
でもこれは決して喜ばしいことではありません
消費者が離れていくでしょう。業者の倒産の相次ぎ競争原理が機能しなくなるかもしれません!
何よりも、今年は今まで来なかったカニかご漁の現場が知らない船船で溢れかえったこと!
今道内ではナマコが標的になっていますが、このままだとカニも昔のように標的になりそうです。