これは今から9年ほど前に体験したお話です。
別に封印していたわけでもなく、その不思議なことは後日になって気が付いたことであり、実はんてことは無い簡単な落ちあるのかもしれません?
ただ、今となっては確かめる術も無く、ただ・・・あの日あの場所に居た少年は現実だったのだろうか・・・と今でも思っています。
当時、まだ会社員との掛け持ちをしていた自分は土曜日が休日ということもあり地元羅臼町教育委員会が主催する『知床キッズ』という小学4~6年生のみを対象とした社会体験事業にコネでスタッフとして参加していました。
9年前、自分の長女が小学4年生ということもあり、その行事その物はとても楽しかった思い出があります
7月はじめだったような記憶があります。
知床岬へゴミを拾いに行こうという事業が産声を上げた時期でもありました。
地元の観光船はまだ、一社のみの時代です。
ここの観光船にキッズ隊員たちと大人スタッフを乗せて一路、羅臼港から知床半島を目指したわけです。
天気は快晴、みんなデッキの上に出て歓声をあげていました。
人家が途切れてクズレ浜のあたりに来たときに気が付きました。
甲板上の3人掛けの椅子の上にたくさんのザックとともに1人の少年が座っていたのです。
年齢は14~17歳くらいの少年です。
少年は具合が悪いのかうなだれていました。
自分は心配になり声を掛けたのです。
『酔ったのか?大丈夫か?』・・・・・と
すると、少年は自分の問いかけにゆっくりと反応し、真っ青になった顔を上げたのです。
でも、すぐに顔を下ろし・・・・・それを見ていた自分は内心『これはもう現場についても寝ているしかないな』と思ったのです。
ただ、あとになって気が付いたのですが、その自分が問いかける行為を間近で見ていた役場職員T氏が怪訝そうな顔をしていたのが不思議でした。
知床半島の避難港、文吉湾に到着し全員下船しましたが、少年の姿は無く、作業が終わるまでは具合が悪いので寝ているんだろうと思ったのです。
アブラコ湾でのゴミ拾いが終わり、帰りはシャチのウォッチングです。
ほとんどの子供達は帰路、船室の方に来ましたが・・・・少年の姿はなかったのです。ただ、それも帰港後に気が付いたことですが。
この事業は小学4年生から6年生までの子供達と大人だけが乗船していたわけです。
つまり、少年が乗船しているわけも無く、数日後ひょんなことから思い出したこの出来事・・・・・そういえば少年が座っていた椅子も置かれていたザックの状況からも人が座れる余裕などあるはずも無く・・・・でもそのときは自然だった?
全てが終わり全員が下船し、積んであったゴミを下ろして別れるまで、とうとうあの具合の悪そうな少年の姿を見ることはありませんでした。
ただ、それだけの話しなのですが、少年はどこへ?
本当は自分にしか見えていなかったのでは?
でも、普通に見えていたよ?
今でも、夏が来るとあのときのうなだれた様子と真っ青な顔を思い出します。