6月11日、日曜日のこと夕食準備中にBGM代わりに点けたテレビでニュースが流れた!
知床岳に登山中・・・・心肺停止・・・
冷水を心臓に浴びせられるような感覚で一瞬、金縛りにあいました。
そのまま、ニュースを見ていると80歳男性・・・。
(友人ではない・・・まして彼がこの年齢の方を連れていくか?)
他にツアー客7人・・・?
(そんな人数を連れていくわけがない)
ガイド2名・・・ツアー会社の名前と映像が流れて、友人は無関係だと知り、不謹慎ではありますが安堵したのは紛れもない事実です。
ニュースを知り、やりきれない思いがしましたね!
自分の身近な地域、レジャーでの死亡事故はアウトドアを趣味とする方なら理解できると思います。
怒りもありますね!・・・・悲しい怒りですが!
2014年には海岸でも女性の死亡事故がありました。
あの時の気持ちです。
どちらも自分的には死ななくても良い事故!
それ以前に中止するか、延期するか、停滞するか、引き返すべき条件の天気予報でした。
突然の地震による落石みたいな事故、噴火などとは違うわけです。
6月10日に出発したわけですが、この時点では穏やかでした。
でも、天気予報は翌日から雨模様。
でも一番の問題は風向きと風の強さです。
日曜日の予想天気図は低気圧が離れていく予想でしたが、これが問題!
普通の方には低気圧が離れていくのだから良い天気と思いがちです。
天気が命にかかわる漁業者なら皆、見抜いていますがカムチャッカ、シベリア方面からの冷たい海風が容赦なく襲い掛かる天気図です。
氷点下に近い海面で冷やされた風は容赦なく体温を奪います。
ましてや濡れているわけで、所詮はゴアテックス!防寒を兼ねた漁業者の使うようなしっかりしたビニル製の合羽ではないので、あちらこちらから滲みていきます。
森林の中に入ると風は感じにくいものですが、森林限界付近、樹木の無いところはまともだったはずです。
その中を登頂しても眺望はおろか達成感を味わう余裕すらなかったでは?
寒さを訴えた時点でもう緊急状態!
すぐにでも焚火など暖を取る必要があったわけですが、天候や場所を考えると手遅れです。
予兆は必ずあったはず、震え、顔色、チアノーゼは無いか、自力歩行が困難になる前から行動は遅れていたはずです。
それを見落としたガイドの責任は重いと思います。たとえ自己責任であっても!
本人も皆に迷惑はかけられないと判断して無理をしたのでしょう。(気持ちはわかりますが)私は無理なので野営地に残りますぐらいの判断があれば!
11日の長時間の行動で全身は濡れ、標高の高い山での野営は氷点下近かったはずですがヘリも飛べないような条件では、最早なす術がありませんでした!
80歳、技術も経験もあったという話ですが、それが問題!
例えるなら『黒帯だからいつまでも黒帯の力量ではないわけです』
その日その時の条件でそれに抗する能力があったかどうか!
低体温に抗する最後の力は自分の発熱量、筋肉量です。
脂肪は断熱材にすぎません!
今回の事故を感じて少し邪推ですが、三浦雄一郎氏のエベレスト登頂も関係あるんじゃないかなと!
ようし、俺も、わしもがんばる・・・勇気づけられた方々も多いのではないでしょうかね?
個人的にですが、三浦氏のは凄いことではありますがスポンサーからサポートから凄い人々が関わり、至れり尽くせりだったから登頂できたような気もするんですよね!
高齢者の登山や冒険は悪いことだとは思いませんし、頑張る姿は良いことだと思いますが引き返す勇気も、止める勇気も伝えてくれるならばと思います。
今回の事故、とにかく日程をこなすことを第一に考えた結果起きた事故のような気がします。
そう、あのトムラウシの大量遭難ような!
それにしてもよくぞ、関係者は山の中を下ろしたなと思います。
よくぞ、Sさんあの時化の中、船を海岸に付けることができたなと!
佐藤さんのご冥福を祈ります。
ご家族友人らにもお悔やみ申し上げます。
でも、佐藤さんは大好きな山で・・・。
植村直己氏が遭難した時、奥さんが遭難について語った時『直己は幸せだと思います』と言いました。