幼少時、祖父が宝物として居間に飾ってあった土器や石器を見て育った自分、それを小学生だった自分が偶然道路脇の崖から見つけたのが古代文化に興味を持ったきっかけでした。
夢は考古学者、今の時代ならテレビでも取り上げられ華やかな部分もある世界ですが、当時はかなりマニアックな世界!
そんな夢も当時の教育委員会職員I氏(故人)に罵倒打ち砕かれ現在に至っていますが、それはそれで良かったのかもしれないです。
その世界に進んでいたら羅臼にはいなかったでしょうからね!
そんな子供時代からの癖で土が見えればとりあえず向かう。
何がなんでも確認せずにはいられません!
掘り起こせば違法ですが、そうでなければ問題無し!
羅臼では旧石器文化の痕跡は見つかっていませんが、旧石器から移行した縄文文化前期郡の遺跡があります。
唯一、氷期時代にマンモスを追っていた人々が陸続きだった根室海峡で落とした石器が海底から見つかり郷土資料室に展示されています。
さて、そんな羅臼、人々の暮らしはより海に近い方が移動や食糧事情を考えると良いに決まっています。
ましてや羅臼は急峻な山々が海岸線から始まり良いことは何もないですし、縄文海進時の温暖なころでも当時予想される海岸線に沿って遺跡が点在しています。
そんな話からこんな山奥でと最初は驚きましたが、旧石器文化が終わり土器が発明され移動採集生活に劇的な変化をもたらした時代、考えようによってはありなのかもしれません!
地図上の直線距離で一番近い海岸線まで2kmほど、実際は歩いた場合は川筋地形などによりその3倍以上は歩いたはずです。
標高も200mほど、奥地で住居があったと思われる場所は両側を小川に囲まれ水の便は良し、でも大事な塩補給から考えると海は遠く、物々交換で生業をたてていたのでしょうか?
縄文時代草創期、早期?と思われる土器片・・・まだ文様がありません
黒曜石の破片がありました。道内はじめ国内のほとんどが網走管内白滝産です。
遠くはサハリンにまで、もちろん対岸の北方領土にも、本州方面にも当時の人々は自分らの想像を超えて交易が盛んだったことを意味しています。
模様のある土器ですが隆起線文のような?
爪形文のある土器は縄文時代草創期の特徴
加工の跡が見られる黒曜石片
海洋民族オホーツク文化を思わせるソーメン文様もありますが山奥過ぎてあり得ません
縄文土器片と頁岩の石器
縄文前期の土器片ですね!
合計8点の土器片!(わかりますか?)
底が平らな特徴を持つ土器片発見!縄文前期確定かな?
草創期や早期は底がとがっていますがそれは移動を繰り返していたので素早く煮炊きの必要があったからです。底が平らなのは定住、貯蔵の意味合いが強くなったからではないでしょうか?
見事な石器発見! 心躍りますね! この長さ大きさなら槍でしょう。
これで熊に挑む勇気あります?
こちらは皮なめしに使ったのではないでしょうかね?
瑪瑙を加工した石器ですが、この石の化工はとても難しく、当時の職人技が道具などを考慮するととても高かったことがわかります。黒曜石は簡単です。
瑪瑙は海岸に行かないと手に入れることが難しいわけですが、黒曜石が貴重であったことを考えると大変だったでしょうね!
弓で使う矢じりです。トリカブトなどの毒を使っていたのでしょうが、そもそもその毒をどうやって発見したのか・・当時の人々の生き抜く力の凄さを感じずにはいられません!
旧石器時代の色合いを濃く残したジャスパーの石器!
もっとも難易度の高い原料石で様々な鉱物が混じっているので一定した割れ方をしてくれず大変な作業だったはずです。
風化が始まっていてもうすぐ草に覆われてしまうので、さっと見渡して拾い集めました。
地元学芸員に連絡して登録に向けて準備をしてもらいます。
集めた遺物はそのまま持ち込んで精査してもらうことで提供済み
後日、現場案内予定です。
大雑把・参考までに
ヴェルム氷期(70,000年前~10,000年前)
旧石器時代(~15,000年前)
縄文時代草創期(~11,000年前)
縄文時代早期(~7,000年前)
縄文時代前期(~5,000年前・温暖な気候)