羅臼海保の『砕氷型巡視船てしお』が出動した時は誰もが簡単に救出し終わるだろうと思っていました。
しかし、あらためて今思うと出港時からすでに予兆が。
漁港内に既に進入している流氷に押されて離岸に苦労していました。
サイドスラスター(船が横移動するための推進装置)では中々・・・。
漁港の間口で流氷の動きを見ていましたが、それはまるで川のように移動していく速さでしたね!
海保も出るまでは良かったのですが、出た途端その流れにつかまりました。横からの圧力で船が方向転換できません!
船というのは地面との摩擦が無いので海面に余裕がないと、どうにもなりません!
押し寄せる流氷は行き場を失い、どんどん重なり合い氷山のようになっていき更に困難さを増していきます。
流氷帯をただまっすぐ進むのでしたら海保の船は問題ないのですが、目の前の狭い範囲での方向転換を余儀なくされる救出作業です。
馬力に任せて突き進無のは簡単ですが、それをやると押し出した流氷の圧力が漁船を襲いさらなる危険を生む可能性があったわけです。
網走沖で航行不能となったトロール船団を太平洋側へ廻航させる『てしお』
羅臼の漁船団を沖合で救助し港へ戻る『てしお』 (今回ではありません)
大海原での救出作業なら、以前『てしお』がトロール船団やロシアの船を救出したように簡単なのですが、羅臼の19t漁船は『てしお』にとっては木の葉のようなもの!
海氷面に全く余裕の無い状態ではうかつに近寄る事さえできず、その様子が陸で見ている人々には歯がゆかったでしょう。
海保の味方をするわけではありません!
思い返せば、あれは2次遭難の危険を防ぐ意味で慎重にならざるを得なかったと思います。
(共栄町沖の漁港まで1マイル以下で発生)
もしも氷を押せばこの悲劇が繰り返されるわけです。
しかしだからといってこれで良いとは言えません!
流氷海難の現場ではこういう事態が想定されるということは漁業者側、海保側双方にとって良い教訓となったのではないでしょうか?
これを機会にそれぞれ対策を!
漁業者側は予防策を!
海保側は新たな救出方法を!
模索して欲しいものです。
㊟:エンジンやスクリューを壊した船がいるように聞いています。保険が適用されて速やかに復帰できることを望みます。明日は我が身です。