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Channel: 知床桜
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カニかご漁師の夢?

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ある匿名の方から子供さん3人と奥さまを抱えていますが、将来的にカニ籠漁師になりたいという・・・ついてはどうしたらよいのかという漠然とした質問を記事のコメント欄にいただきました。

普通なら『諦めなさい』で済む話ですが、カニ籠に限らず漁師になるにあたって簡単ではないということを広く知ってもらいたいと思いました。

また、返答を書くにあたり、ブログを開設されていないのでゲストブックやメッセージなどで個人的に書き込むこともかなわず、記事内でも文字数制限がありここで書きたいと思います。

ここでは自分の足りない頭で知っている限りのことについて北海道内について書きたいと思います。

本州以南についてはわかりません!

まず、漁業者として独立するにあたり各地域の漁協組合員にならなくてはいけないわけですが、これが簡単ではありません!

どこの漁協(道南、日本海側は例外もあり)も今は組合員を減らすことに努力している状態です。

年々先細りする漁業資源を巡って共倒れを防ぐ意味合いが強く新規で組合員になるのは至難のことです。

多くは世襲制なのもこういうことからで、農業とは全く別物です。

普通の家庭に育った方が漁師になる場合は漁業者研修所(今もあるのかどうかは不明)に行って雇われ漁師になるか、知り合いのつてをたどって雇われ漁師となるのが近道でしょう。

運良く、使ってもらえることになっても、そこから独立し漁師になるにも、資金が無いと話になりません!

運良く、組合員になれたとしましょう!

でも、一口にカニと言っても種類により現場海域は全く違ってきます。

海域が違えば使用する船の大きさも違ってきます。

カニはどこにでもいるわけでは無く、季節により移動もしますし、種類によって生息する水深も違ってきますし、通年操業できるわけでもありません!

採捕許可が下りるかどうかは非常に厳しく、北海道の許可が通るか、組合の理事会を通るか、下りない可能性が非常に高いでしょう

また、漁船規模にもよりますが、最低でも数千万!融資となると多くの連帯保証人が必要となります。

地元地域の話をしましょう。

羅臼の場合、過去にベニズワイガニ漁の許可が下りて2隻の19t型漁船が操業したことがありましたが、価格面で採算が取れず止めました。

ズワイガニ漁は1年前から2隻行われていますが、漁場が刺し網漁とかぶるのと同じように漁模様にバラつきがあり厳しいようです。

自分が行っている毛ガニ・タラバガニ漁は当初5隻操業していましたが、採算面で厳しい時代があり2隻は辞めました。
隣の標津町も5隻操業でしたが3隻辞めて今は2隻のみです。

始めた当初はソビエトの崩壊とロシアのカニ輸入が最盛を迎えたこともあり、まったく採算が取れない状態が10数年ほど続きました。

今はロシアの規制が厳しくなったことと、密漁が減って資源が回復し、我が家は非常に助かっていますが、今後は密漁が増え又資源の枯渇になる気がします。

オホーツク海側はロシアマフィアの密漁!噴火湾沖から日高沖にかけたは暴力団!太平洋側、根室海峡は特高船が姿を消したので同じ漁業者の密漁でしょうね!決して安全とは言えない状況です。

質問された方が太平洋、オホーツク海側漁業の後継者であれば可能性はゼロではありませんが?

カニ籠漁の良い面しか見ることが無いでしょうが、現実はとても厳しい!

質問された方が3人のお子さんが居る時点で一体何歳なのか?気になるところです。

結論から言うと博打に近い世界なので考え直したほうが良いかと!



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