赤岩川で充分な休息をとった我々は知床岬灯台へ登るため一路、アブラコ湾を目指した。
この時すでに我々はその存在に気が付いていたのだが、避けては通れないので隊員たちと距離を置き先行した。
途中ですれ違った藤本ばあちゃんの犬!
道先案内をしてくれたシロはやがて、『これ以上近寄るのは危険』とばかりに立ち止まって振り返る。
そしてシロはここで引き返して行った!
向こうもこちらの存在を確認する。
大人だけなら脇を通り抜けるのですが、大勢の隊員たちを抱えて通り抜けるのはリスクがあります。
熊は他のネコ科の動物と違い表情筋があまり発達していないと言われているので、表情からその攻撃性を読み取るのは難しく大変危険だと言われています。
同じような時期にロシアでは至近距離で大丈夫と油断するあまり5名が死傷する事故もあったばかりです。
ここは何としてでもどいてもらう必要がありました!
最初に隊長が挑戦しましたが無視!
次に自分が挑戦しましたがまったく動じません!
何しろ、すぐ頭上で破裂しても微動だにせず黙々と石をひっくり返して餌を獲っています。
花火を消費し、威嚇のために衝撃の強いマ〇〇〇を使用!
70Lのザックを背負ったままだったので正確な肩付けができないまま仕方なく銃床を抱え込むように!(花火は衝撃が無い)
その一発で初めて空を切り裂く異音に反応!
自分は右腕が衝撃で不能になり、みっちゃんと交代し援護の態勢!
みっちゃん良い仕事しました!
ぎりぎりまで近寄り?(かなり危険で自分はスコープに入れたまま)第一投!
足場が悪く転んだ・・・・予期せぬことに熊が驚いて逃げの態勢!
さらに一投で熊はようやく道を譲ってくれました!
後日二人で話しましたが、こちらにも慣れがありこうすれば熊は逃げてくれると勝手に思っているけれど、決してそれは100%では無くていつ気変わりして向かってくるかわからないわけです。この対応が良かったのかどうかは結果論でしかない。
もしも向かってきて事故が起きたら、逆に殺してしまったら、探険隊は終わりです。
事前クマ対策講習では出会わないように努力しましょう・・・相手に存在を先に知らせましょう・・・でもそんなものはここでは通用しないのです。
この重い課題を来年は財団職員が自分の代わりにチャレンジで実践し示してくれるはずです。
後日、帰宅後の右腕・・・・〇〇〇ムの衝撃の凄さを物語ります。(ザックを下ろせば良かったのですがね)
熊に道をお譲り頂いた後、待機していた隊員たちは緊張しながら先端部の将軍岩を目指します。
無事、岬先端部をクリアし日陰で休憩!
アブラコ湾上部で荷物をおろし、岬灯台を目指します。
記念撮影!見晴らしがよく、心地よい風が吹き、風景は何かの映画のシ~ンのようでした。
灯台を下りて野営予定の啓吉湾を目指す。
啓吉湾!
仲の良い3年生5人!
仲の良い中1女子5人!
遠投を競い合うオス同士!
徐々に日が暮れて行きます。
羅臼では夕日が水平線に沈む夕陽を見ることができません!
海に沈む夕日を子供たちに見せてやろう!という極めて単純な発想から始まった探険隊・・・・だから始めることができて、いまだに続けることができるのかもしれません!
ゆっくり沈みゆく夕陽!プロポーズするなら最高のロケーションですね!
陽が沈むとあっという間にあたりは暗くなり、空を覆っていたツバメの代わりに満天の星空を眺めながら3日目の夜は更けて行った!
つづく!