30数年間羅臼町の天然記念物鳥類監視員を続けて来ていて思うのは30年前と違い、ワシの分散化とシマフクロウが殆ど増えていないという感じ。
30年前、羅臼の海は冬の間スケソウ漁が隆盛を極め、揚網時にこぼれ落ちるスケソウダラを狙い北海道で越冬するワシ類のほとんどが集まっていました。
これは形を変えた餌づけでもあります。故意に餌を与えたか、どうかの違いでしかありません。
畑の落ち穂に餌付く野鳥類も同様、形を変えた巨大な餌づけです。
人間の活動により発生した食料の確保ですね!
オジロワシは増えました。新しい世代は人をあまり気にしません、それは人の傍に居ることでエサを容易に取ることが可能だからかもしれません。
人家のすぐ裏に巣があり、各漁場や港にはそれぞれのつがいがエサをねだりに来ます
だからと言って気を許すわけでもなく一定の距離感はありますし、共生という感じです。
オオワシは問題です。
繁殖地のロシアの環境破壊、越冬地での北海道では鉛弾中毒、鉄道事故により命を落とすわけですが、昨今は鉄道事故が主ですねぇ。
羅臼でのスケソウダラで越冬が難しくなり、分散化したワシが目を付けたのがエゾ鹿の死体です。
これもまた形を変えた餌づけです。
○○側が適切な対応を怠ることで事故は無くなるどころか増える傾向に!おそらく発表されている事故は氷山の一角であることを自分は投棄されていた死体で知っています。
シマフクロウは必死に巣箱を設置したりしていますが、肝心の野生での餌環境が整わず、ほとんど変化なし何か良くない事態が起これば一気に姿を消しかねません。
野生動物保護に関しては様々な立場の人と交流があり、それぞれの立場の人の考え方も理解しています。
双方の言い分も一長一短といえば怒られそうですが、それぞれにしがらみのない立場の自分や一般の人たちはこう思うのではないでしょうか?
綺麗ごとばかり自分の立場で物言わず、タンチョウツル成功例のように無分別に餌づけしては?
本当にどうにもならない事態になってしまってからでは遅いのでは?
丹頂鶴の餌付けも当初は個人のエサやりから始まったわけで、それに環境省が後から乗っかった良いとこ取り!
それが功を奏し、個体数が増加、人馴れは多少ありますが、上手く共生できています。繁殖地の確保も自分達で適応しています。
ワシの餌付けで問題にされる羅臼の観光船によるエサやりもこちらに集中させて鉄道事故を防ぐ可能性もあるわけで、おそらく餌付けが無ければ今の羅臼にはほぼワシは見当たらなかったでしょう。
これでJR側が轢死したエゾ鹿の素早い回収を行ってくれれば問題無いですが、実態はかけ離れていることを現場で何度も目撃しています。
シマフクロウも一般の方が餌付けしている個所が北海道に3か所あるわけです。他に給餌ということで環境省のお墨付きの方が2か所、増えないならエサ場を増やすべきでは?餌付けが悪いだのなんだのと言っていられない状況では?
しまいにはトキのように外国から持ってきて、繁殖しました万歳は無いのでは?
餌づけは良くない・・それはわかります。でもそれならば野生動物が人の活動でエサを得ることが無いようにすべきですがそれも出来ない。
ならば考えを変えるべきです。
多少の人馴れも絶滅を回避する上では必要悪なのでは?
綺麗ごと言っていても始まらないよ